現場(現物)調査のお話
現調とは主に現地調達や現場調整、現場調査などを略した言い方でございますが、
わたくしどもの場合ですと現場や現物を調査するという意味合いで使います。
建築や内装などの工事ではマストで行われている事ですが、
什器や看板等を納める際にも施工が伴う場合には行う事が多いです。
什器工事の場合では主に設置環境や搬入環境の確認や実測をはじめ、 |
時にはご依頼元が行った現調結果を受け、それを基に製作施工するケースもあるのですが、
調査して欲しいポイントが押さえられていないと、
製作施工をスムーズに行う為の事前調査のはずが後々プラスの手間となってしまう事もあるので、
やはり現調は製作施工を実施する業者が行うべきだなと思う場面があったりも致します。
製作物や施工の内容によっても見るべきポイントや必要な情報は異なるものですし、
什器工事や木造作工事って全体工事とは違って部分的ではあるのですが、
それだけ確認しておきたいポイントもザックリではなくコアな事が多かったりする為です。
また、現調は現場工事(施工)の場合だけでなく
製作をする為に行う什器そのものの現物調査や、
既存什器の不具合を調査するというケースもございます。
製作する為の現調。
この場合も現調をご依頼元がなされて、その情報や写真などを拝見するパターンもあるのですが
その情報から
・寸法は分かった〇
・材料も分かった〇
・仕上げもなんとなく分かった△
と、大まかな事はわかるのですが
じゃあ、
・小口の納まりはどうなってましたか?
・天板の裏はどうなってましたか? など
実際製作するにはもっと細かいところが知りたいわけで(そういうところでコストも変わったりします)
現物確認とは、写真では判断しにくいところを実際にみて触って |
連想ゲームのようにあとは写真で何となく判断して下さいパターンなら
調査する意味がそもそもないですし、そのモヤっとした調査結果をいただくぐらいなら
正解(現物)をみせていただいた方が早いのです(笑)
そして既存什器の不具合調査についても同様なのですが
以前にビックリといいますか、失礼ながら呆れてしまうことがありました。
弊社で納めた什器ではないのですが、
某アパレル店舗様にて既存什器の引出しの締まりが悪いというご相談がユーザー様からあったそうです。
そのご相談を受け、ご依頼元が現調にて状態確認をされたところ、
引出しの前板が反っているから締まりが悪くなっているというご判断をされ、
引出しを再製作するという対処法をユーザー様にご報告なさったそうです。
そしてその引出しの再製作のご依頼がたまたま弊社にきたわけでございます。
製作にあたっては当時の図面もないとの事で、こちらで改めて現調実測からして欲しい旨のご依頼でしたので
現場にて現物確認をさせていただきました。
余談ですが、こういう不具合のケースは製作したところに打診されるものなのですが、
海外で製作されたものなのでそれが出来なかったそうです。
いざ現地で拝見したところ、同じ引出し(壁面什器の大きな地袋)が10ヶ所ぐらいございましたが
確かに全部最後までパタンと綺麗に締まってない感じです。
ですが、引出しってほとんどが前板の裏には |
スライドレールは引出しをスムーズに開閉する為の金物ですが、
引出し側に付くインナーレールと什器本体側につくアウターレールが
平行に噛み合いスライドする事でその機能性を発揮します。
一般的には横引きタイプのレールがよく使われますがひとつの引出しにつき
(※引出しは正しくは1杯、2杯と数えますが)
外側の左右にレールがついている物が多いです。
底引きタイプの場合はそのレールが引出しの底につくものでございます。
レールというだけあって軌道を支持する為のまっすぐなモノなのですが
それがなんらかの理由で軌道が歪んでしまったら平行にかみ合うはずの起動が微妙にズレて締まりが悪くなるという事です。
耐荷重オーバーで固定していたビスが緩んだりするケースも考えられます。
分かりやすい例で言えばレールが付いている引戸なども締まりが悪くなる原因はレールにある事が多いです。
お話を引出し調査に戻しますと、
他社製作品な上、製作当時の図面も残っていないようですので
そのスライドレールの耐荷重は知りえないのですが、
恐らくレールの耐荷重以上の物を収納してご利用されていた為に起こる現象かと思われました。
原因がだいたい特定出来たので、
ひとまず全ての引出しを外してレールを調整しなおしたところやはりビンゴです。
全てきちんと締まるようになったのです。
原因は前板の反りではなかったという事になります。
どう見ても反ってはいなかったですし…(汗)
不具合の原因は前板の反りではなく、スライドレールが荷重に耐えられずたわんでおり
レールの軌道が平行になっていなかった為かと思われ、
対処としてスライドレールの調整を行い、不具合解消。という感じです。
蓋を開けてみればメンテのみで解消する不具合だったのですが、
ご依頼元の現調のお見立て通りに
全部の大きな引出しを作り直すとしたら時間もコストも10倍以上…
しかもその時点に至るまでも度々現調されていたり、そんな些細なご検討にかなり時間をかけておられたような…
分かる人が見ればすぐに解決する事でも それってユーザー様にとってはデメリットですね。 |
ミスは誰にでもあるので、分からない事や間違う事が悪いという事が言いたいわけではないのですが、
不具合が解消したにも関わらず懲りずに再製作の意向を強行しておられ…
残念ながらユーザーファーストとはかけ離れておられました。
患者さんに誤診した上に、
誤診を正当化するべく不要なオペを強行するお医者さん的な…
そんなビジョンが浮かんできて何かがサーッと引きました(冷汗)
ユーザー様は弊社の直接のお客様ではないのでもちろん余計な事は申せませんし、
直接のご依頼元のご指示通りにやればよいというのがセオリーでもありますが、
そのご指示もおぼつかないとあってはさすがに遠慮させていただきたい…という出来事でございました。
不具合調査は、その不具合の原因と対処法の見立てを間違うと
ユーザー様に不利益をもたらす事になるケースを目の当たりにして、
改めて考えさせられる事となりましたので今回記事にしてみました。
当たり前の事なのですが、ユーザー様は什器の事になどたいして詳しくはないわけで、
だからこそ専門の業者に相談して下さいます。
素人さんからみると専門業者が言うんだから正しいはずと思い込むわけですから
責任を持った発言やご対応をしないといけないと思うのです。
ブログのネタを何にしようかなと思い起こした時に
だいたいインパクト強めに印象に残る事って、反面教師的な事が浮かんでくるのですよね…
決して批判の類ではなく、そして人のふり見てなんとやら的に自身への戒めが強めでございます。
事前調査って、意図や目的があって行うものなので、 |
最後に
弊社では什器以外にも看板やサイン・ディスプレイの製作施工も行っております。
街を歩いていてよく思う事。
看板がだいぶん年季が入って劣化してきてるお店が多いなぁ。。。
年季ももちろん味なのでそれも良しなのですが、
一部破損していたり、電気が一部分だけ切れていたりとか、
メンテが必要な看板って見ていて結構多いです。
お店の顔である看板。
新規や改装がない限りあまり看板だけに手を入れる事はしないのかなと思いますが、
SNSによる集客が主流の昨今でも
看板を変えて集客がアップしたという情報もよく目にします。
知らない街で下調べがなく知らないお店に入る時に
どこにしようかと決める上での一番の指標が看板だと言われています。
それだけお店の第1印象を担っているんですよね。
綺麗にオシャレに、というだけでなく、
その街は学生が多いのか、サラリーマンが多いのか、お年寄りが多いのか、や
周りの環境は繁華街なのか、住宅街なのか、オフィス街なのか、なども含めて
周りとの調和も考えた上で看板にお店の個性を存分に表現してみると、
また今までとは違ったご新規のお客様も来てくれるかも知れません。
ちなみに私は事務所の近くにある |
店舗全体の改装というとコストがかなりかかってしまうけど
看板だけのテコ入れならコストもそこまでかからずに
お店の印象をイメージアップ出来るのでコスパ的にはおススメです。
そして年季とは違い、破損に関しては、
大事なお顔なのでいち早く手当してあげて欲しいなぁと思いながら
道行く様々な看板を眺めている今日この頃です。
【特注什器 造作家具製作専門 株式会社STプラネット】
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