什器製作における素材や仕上げについて
前々回の記事で特注製作物のお見積りに関する事を書かせていただきました。
お見積りは、サイズ・素材・仕上げなどのスペックと数量などに基づき
材料費や加工手間、その他の要素も加味して算出致しますので、
お見積りをご所望の場合には、その算出条件が必要となる旨お話ししました。
でもスペックと言われてもピンとこないって方もおられるかも知れませんので |
什器の本体の素材として最も多いのが木工になるかと思います。
主にネットからのお見積依頼なのですが、
お見積りが欲しい什器の図面資料やスケッチなどを添付いただく際に
大きさや形はなんとなく書いてあっても素材が書いてない事が多かったりします。
そんな時は素材や仕上げは何ですか?とお尋ねすると
『木』ですと返ってくる事が多いです。
『木』といっても色んなパターンがあるのですが、
やはり一般の方やこういう業界にいない方には
木は木だし何が違うのか分からないって方が多いのかなと改めて思います。
この業界におられてもお仕事をいただくような元請けさんでも
お若い方などは素材について疎い方も若干おられるのが現実です。
じゃあ木工のパターンって例えばどんなのがあるのかと申しますと
比較的どこにでもありオーソドックスなのが化粧板仕上げの什器です。
化粧板というのは仕上げ材にあたりまして、木工下地に貼って仕上げるという素材です。
仕上げ材なので色んな色や柄がメーカーさんから出ていますので
その中からチョイスするという事になります。
また、化粧板にもメラミン化粧板・ポリエステル化粧合板(ポリ板)という種類がございまして、
それぞれ厚みや特性が異なります。
メラミン化粧板はメラミン樹脂やフェノール樹脂を印刷紙やクラフト紙に浸透・乾燥させて 一方ポリ板はメラミンと加工の仕方が違い、構成は合板(ベニヤ)に メーカーさんでも主要な品番はメラミンとポリで |
とは言っても、
メラミンとポリではやはり表面の素材感が異なるので単色ならまだよいのですが、
木目柄などは貼り分けすると明らかに表面の質感の違いが目立つケースもありました。
そりゃ〜、全ての面をメラミンで仕上げた方が上質感は多少でるのですが、 |
というのがこれまでの定説ではあったのですが、
昨今の材料高騰ではメラミンよりもポリ板の方がアップ率が高いのですよー!
べニヤが値上がりしている関係でベニヤを使用しているポリ板のアップ率が顕著です。
それでもメラミンの方が高いには高いのですが差がこれまでよりは縮まっております。
続きまして木工の別のパターンとしましては
無垢材や集成材などの原木、正に木を使用した什器。
無垢材と集成材は厳密には違うのですがここではとりあえず同じ括りで記します。
化粧板のように下地に仕上げ材を貼るというのとは異なり、どこを切ってもその木です(笑)
そして使えば使うほど風合いも出るので高価だけど一生モノになりえます。
お寿司屋さんなどで無垢材の重厚感のあるカウンターをよく見かけますが
木目も天然で温かみや和の雰囲気が出ますよね。
仕上げは塗装になりますがだいたい素材を生かしたクリアが多いかと思います。
続きましては無垢材や集成材ほどではないけど
木の風合いを楽しみたい場合は突き板貼りという仕上げがあります。
こちらは下地(芯材)に突板べニアを貼って表装を無垢材のようにみせるという感じです。
詳しくない方が見る分には無垢材なのか突板仕上げなのか区別がつかないかも知れないです。
なので、無垢材風にみせたいけどコストがネックで・・・という場合は |
続きましては、木目などの風合いではなく、または化粧板でもなく色を塗装で仕上げたいという場合。
こちらは下地を塗装に向いているシナ合板、またはMDFで製作します。
化粧板や突板のように少し厚みがある仕上げ材を貼って仕上げるのと違い
塗装を吹くので塗装が綺麗に乗るようにフラットに仕上げておく必要があるからです。
これは表装の仕上げ材がシートなどの場合も同様です。
企業やブランドのイメージカラーなどは
化粧板の既存のカラーラインナップにはない色をご指定の場合もあるので
化粧板の場合は、メーカーさんに特注色の化粧板を作ってもらう事もありました。
既存色ではなくオーダーなのでコストは上がりますし
この場合はある程度の数量がないと塗装の方がコストメリットが出るという事にもなりえます。
塗装の場合でも塗料メーカーさんに調色を依頼し
色差計でほぼ誤差がないレベルまで色を合わせるという事も行っております。
色を合わせるって結構複雑なんですよね。 |
同じ赤でもちょっと黒っぽい赤、朱赤、白みがある赤、黄味がある赤など微妙に違う。
女性のリップやネイルみたいですよね。
微妙な違いに敏感な人もいれば、同じにしか見えないという人もいるので(笑)
というわけで、今回は主なモノを取り上げてみたのですが、
仕上げによって下地の素材が変わってくるという場合が多いので
一般的には完成のイメージから表装の仕上げ材を決めて下地の素材が決まるというパターンになるかと思います。
化粧板仕上、無垢材や集成材の塗装仕上げ、突板貼り塗装仕上げ、
人工大理石仕上げ、塗装仕上げ、シート仕上げ、アルミ仕上げなどなど。
組合せは用途・ご希望により様々となります。
余談になるのですが、
以前にお写真とスケッチを送っていただき、この写真と同じような什器のお見積りが欲しい、
というお客様がおられて、お写真を拝見したところ白い化粧板仕上げの什器と思われたのですが、
お写真でこちらが勝手に判断するわけにはいかないと思い、
念の為、仕上げは何ですか?とお尋ねしたところ仕上げは『白』です、というお返事でした(笑)
色が白なのは見れば分かるので微笑ましすぎて笑ってしまったのですが、 |
冒頭で書きましたが、素材は『木』ですというアンサーと通じるものがあるのですが、
わたくしどもは普通に素材や仕上げと言っているけど、
そういうワードも一般的には馴染みが薄いのだなぁと思ったので
ザックリであまり参考にはならないかと思いますが
よく分からない方への入門マメ知識としてこのような記事を書いてみました。
ひと通りいろんなパターンのご案件にご対応させていただいておりますが、
最近製作施工させていただいた什器のご案件では、
塗装やガラス加工について少し踏み込んだ事案もございましたので、
またの機会で記事に出来ればと思います。
【特注什器 造作家具製作専門 株式会社STプラネット】
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